胆道癌

胆道悪性疾患

胆道悪性疾患の本年度の切除手術症例数は肝門部領域胆管癌21例、胆嚢癌7例、遠位胆管癌11例、十二指腸乳頭部癌3例、末梢型肝内胆管癌4例、合計47例で1992年からの累積胆道癌切除数は662例となった(図1)。
横浜市内・神奈川県下から多数の貴重な症例をご紹介頂き、胆道癌切除数は増加傾向である(図2)。
いずれの症例も他院では治療が困難と判断されており、術前治療から胆道ドレナージなどの管理、手術、術後補助化学療法に至るまで様々な難しい問題を解決していかなければならない。
消化器内科、放射線科と協力しながら診療にあたり、胆道癌全体の5年生存率:45.1%、10年生存率:32.8%、MST:44.5ヶ月となっている(図3)。肝門部領域胆管癌は1992年からの切除数は252例となり、切除症例全体の5年生存率は38.7%、MSTは37.4ヶ月であった。 胆嚢癌は1992年からの切除数は145例となり、切除症例全体の5年生存率は52.8%、MSTは33.5ヶ月であった。
遠位胆管癌は1992年からの切除数は142例となり、切除症例全体の5年生存率は31.0%、MSTは33.5ヶ月であった。
十二指腸乳頭部癌は1992年からの切除数は118例となり、切除症例全体の5年生存率は64.4%、MSTは103.4ヶ月であった(図4)。

 胆道癌に対する手術はいずれも高難易度手術であり、術後合併症率や死亡率も他疾患に比べて多いことが問題である。
2008年4月から行っている切除可能境界胆道癌(borderline resectable)に対する術前化学療法症例は2017年12月で117例となった。うち79例(67.5%)に切除術を施行し、切除例の3年生存率60.1%、5年生存率49.1%と効果が期待できる経過である。一方、初診時に局所の過伸展や遠隔転移を有するために非切除と診断された胆道癌に対しても半年から1年間の化学療法を行い、病勢が進行しなければ積極的に切除を行っている。
このような切除不能胆道癌(Initially unresectable)は2007年から合計87例おり、うち21例(24.1%)にConversion surgeryを施行した。Conversion surgery施行例の5年生存率は72.8%と良好で、非施行例の5年生存率(9.3%)に比べ有意に延長していた。
技術的に困難な手術を施行しなければならないが、切除の可能性を常に考慮することが重要である。また、進行胆道癌に対する切除率向上を目指し、より強力な術前化学療法レジメンの導入を検討している。
 胆道癌に対する最も効果的な治療法は外科的切除であり、術前化学療法、放射線療法、術後補助化学療法、胆道ドレナージ術、胆管炎のマネージメントなど多岐にわたる手技と知識が必要である。
胆道癌治療成績向上を目指し、今後も手術手技の研鑽、知識の向上、臨床研究、教育に貢献していきたい。

村上 崇

図2