最新鋭の手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)について

横浜市立大学附属病院では直腸癌手術に対するロボット支援下手術が神奈川県内で最も早く保険適応となりました。
当院消化器・肝移植外科では、2015年10月からロボット支援下直腸手術を行っており、その実績から施設認定を得て保険診療が可能となっています。
ダ・ヴィンチはアメリカで開発された最新鋭の内視鏡手術支援ロボットで、腹腔鏡下手術同様に身体への負担が少ない、患者さんにやさしい低侵襲手術を実現します。

ロボット手術の対象となる大腸疾患は主に直腸がんであり、特に肛門に近い下部直腸癌でそのメリットを最大限に発揮します。


ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)のメリット

3D画像:
従来の腹腔鏡下手術は2次元の画像が基本でしたが、ダ・ヴィンチ手術では3次元画像による腹腔鏡下手術であり、奥行きのある、より立体的な高画質画像で手術を行うため、より正確かつ安全に手術を行うことができます。
特に直腸においては周囲には排尿機能や性機能を司る自律神経や血管が取り囲んでおります。
これらの神経や血管を可能な限り温存することが術後の機能障害を残さないために重要です。
ダ・ヴィンチ手術では良好な視野によって繊細な手術が可能であり、このような神経温存手術にもメリットがあると考えられています。

ダ・ヴィンチカメラの先端には右眼、左眼が付いており、術者は3次元の視野を得ながら手術を行うことができます。

直腸は、排尿や性機能を司る神経に囲まれています。
ダ・ヴィンチ手術ではこれらの神経を可能な限り温存し、からだに優しい手術を実現します。

関節機能が付いた鉗子:
従来の腹腔鏡下手術では長い鉗子を用いた手術であり、直線的な動きしかできませんでしたが、ダ・ヴィンチ手術では多関節機能をもった鉗子によって多彩な動き(関節の360度回転など)が可能であり、従来の腹腔鏡では困難であった手術操作が可能です。

ダ・ヴィンチの鉗子には多数の関節が付いており、多彩な動きが可能です。

手振れ防止機能:
ダ・ヴィンチ特有の手振れ防止機能により、スムースかつより微細な手術操作によって出血の少ない手術が可能になります。

術者の手による大きな振幅は、体の中では小さな振幅として再現されるため、より精密な手術が可能となります。

当院で使用しているダ・ヴィンチ(Si)手術システムの仕組み

当院で導入している「ダ・ヴィンチ(Si)システム」について

1.サージョンコンソール

医師がペイシェントカートの鉗子を操作する機械です。
拡大された高解像度3次元立体画像を見ながら、両手で「ダ・ヴィンチ(Si)」を操作します。
画像が3次元化されたことにより、従来の腹腔鏡下手術と違って奥行きを読み取って鉗子を動かすことができるようになり、より正確かつ安全に手術を行うことが可能になりました。

2.ペイシェントカート

医師の手の動きを正確かつ繊細に再現して、手術を行うのがペイシェントカートです。
ペイシェントカートの鉗子には人間のように関節があり、腹腔鏡下手術では不可能だった「手」のような動きを再現できます。
ダ・ヴィンチは手術を支援するロボットであり、手術操作は医師が行い、オートメーションでロボットが行うわけではありません。

手術費用について

2018年4月から保険収載され、横浜市立大学附属病院は施設認定を受けているため、保険診療となります。
費用は通常の腹腔鏡下手術と同様となります。
実際のロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)の執刀は、ロボット手術術者認定証を有し、当院で定めた術者基準を満たした者が行います。

担当医ご紹介

直腸領域のダ・ヴィンチ手術は、主に以下の3名で担当をしております。
詳細は各担当医までお尋ねください。

・消化器・肝移植外科
講師 石部 敦士
助教 小澤 真由美、鈴木 紳祐